平成28年10月1日から、B型肝炎ワクチン(HBワクチン)が定期接種となりました。
(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137555.html)
日本では、これまでは、HBワクチンの公費による接種は、B型肝炎ウイルス(HBV) 母子感染予防に限定されていましたが、その予防のための処置が2013年10月18日か ら世界標準の方法に変更されました。新しい方式では、HBワクチンは出生直後に接種する よう変更されていて、生後 2 か月での免疫グロブリン注射は省くことになりました。
(http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=141)
本年10月の変更で、HBワクチン定期接種の対象となったのは平成28年4月1日以降 に出生した子どもです。それ以前に出生されたお子さんに対し、HBワクチンは任意接種に位置づけられたままですが、HBワクチンは早期に接種を受けるのが望ましいワクチンです。
そこで、HBワクチンについて、一緒に考えてみたいと思います。
HBVの感染経路は、ウイルスを含んだ血液や体液が体内に入ることです。HBVの感染が成立すると肝臓で炎症(肝炎)を起こし、慢性肝炎から肝硬変、更には肝がん(肝細胞癌)へ進展するおそれがあります。(http://www.jsh.or.jp/vaccine/universal)
HBVによる感染症を予防する目的で開発されたのが、HBワクチンです。
HBVは肝がんの原因ウイルスであることが科学的に証明されており、その感染を避けることは、将来の肝がんを予防する目的があり‘HBワクチンはがん予防のワクチン’です。
世界保健機構(WHO)は、1992年に、すべての出生児にB型肝炎ワクチンを接種することを推奨しました。諸外国では、新生児期または乳児期から定期予防接種として接種され、現在180か国以上ではユニバーサルワクチンと位置づけられて、すべての人が接種の対象です。ユニバーサルワクチンとは、日常生活のさまざまな場面において、すべての人が HBVへの感染の機会に遭遇すると予測されるため、子どもも大人もすべての人が HBV感染防止の対象となるとするユニバーサルワクチネーションの考え方によります。
皆様には、この機会に、HBワクチンの接種について、ご家族で話し合ってみられるようお勧めします。
和歌山県立医科大学地域・国際貢献推進本部地域医療支援センター
北野 尚美