しもやけ-

かゆくて痛いしもやけ、辛いですね。
しもやけは医学的には「凍瘡:とうそう」とよばれます。真冬の病気のイメージがあるかもしれませんが、実は、最低気温が4~5℃、1日の気温差が10℃以上の時期におきやすく、初冬の11~12月ごろや、冬の終わりの3月ごろによくみられます。
 

しもやけができるメカニズム

①血行不良
皮膚の血管は、寒い場所では細く、暖かい場所では太くなって、体温を調節しています。寒さ・暖かさのくり返しにより、この調節がうまくいかなくなると、血流が悪くなり、そこに炎症がおきて、皮膚がむくんだり、赤くなったりします。これがしもやけです。しかし、くわしいことは、まだよくわかっていません。

②湿気による肌の冷え
寒い時期に、汗をかいたり手洗いの後に湿ったままにしておくと、水分が蒸発するときに体温をうばって、しもやけができやすくなります。
 

しもやけができやすい人

住宅環境や防寒具、栄養などがよくなって、昔に比べてしもやけは激減しましたが、今でも珍しい病気ではありません。
しもやけができやすいのは、
・皮膚が薄く毛細血管の細い子どもや女性
・水を扱う仕事の機会が多い人
・動脈硬化のある高齢者
などです。
また、しもやけになりやすい人とそうでない人がおり、遺伝的な体質が関係していると言われています。
 

しもやけの症状

寒さにさらされた部分の皮膚が、赤~紫色に腫れたり(=樽柿型たるがきがた)、ところどころに赤いぶつぶつができたりします(=多形滲出性紅斑型たけいしんしゅつせいこうはんがた)。ひどくなると水ぶくれや潰瘍かいようができることもあります。強いかゆみや、じんじんするような痛みが特徴で、お風呂や暖房などで温まった時に、かゆみが強くなります。

できやすい場所は、寒さにさらされ血管が細い身体の末端部、つまり手足の指や鼻・耳・頬・あごなどの部分です。
 

しもやけの対策

しもやけへの一番の対策は、予防です。特に子どもは、寒い中時間を忘れて遊んだり、手洗いや汗をかく機会が多いうえにふき取りが十分でないことも多いかもしれません。学校に行く前や帰宅後などに下のようなことに気をつけましょう。

①外出の時
・厚手の靴下・手袋・耳当てや帽子・マスクやカイロなどを早めの時期から使う
・きゅうくつな靴やつま先の尖った靴など、足先をしめつける靴を履かない
・靴下・手袋の替えを持ち歩き、汗や水分で蒸れたり濡れたらこまめに取り替える
・雪遊びなど濡れることがわかっている時には、防水・防寒効果の高い靴や手袋を使う

②室内・家では
・ルームシューズやスリッパなどを履く
・手洗いや入浴後などには、タオルで水分をきちんとふきとる
・入浴時はぬるめの湯舟でしっかり温まる、温かい食べ物で内側から体を温める
・冷えた部分を温めながらやさしくマッサージする
 

しもやけの治療

しもやけができてしまったら次のような治療をします。多くは1~数週間程度でよくなります。

①市販薬
血管を拡げる作用のあるビタミンE配合の塗り薬で、温めながら、患部をこすらないようやさしくマッサージします。症状が軽いときは市販の軟膏なんこうやクリームなどでかまいません。

②皮膚科受診
市販の薬でよくならない時や、症状が強いときには、皮膚科を受診しましょう。ビタミンEや炎症を抑える作用のあるステロイドなどの塗り薬のほか、症状に応じて、ビタミンEや漢方、かゆみを抑える抗ヒスタミン薬などの飲み薬を処方します。毎年、重いしもやけで困っている場合には、予防的にビタミンEを内服することもあります。

③注意が必要なしもやけ
治りにくい・繰り返すしもやけの中に、別の病気(膠原病こうげんびょうなど)がまぎれていることがあります。症状が思うようによくならなかったり、暖かい季節になってからも続く場合には、医療機関を受診することをお勧めします。

 

エコチル調査大阪ユニットセンター
小児科 野崎 史子

 

<参考資料>
(1)赤坂俊英:凍瘡.小児科臨床 54(12): 2160-2161, 2001.
(2)関場慶博:しもやけ(凍瘡).小児内科 42(増刊): 827-828, 2010.

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