今のこどもは早熟なのか-

 今のこどもは早熟であるとよく耳にします。女の子では初潮開始年齢が明確であり、長年、大規模な調査が行われています。大阪大学における調査によると、確かに100年単位でみると、初潮開始年齢が早熟傾向にあるようです。しかし近年はその早熟化が鈍化し、特に1997年以降では初潮開始年齢は横ばいとなっています(図)。

 思春期が早く始まることを「思春期早発症」と言いますが、原因は様々です。脳腫瘍などの頭の病気からくるもの、両親からの遺伝、栄養や睡眠時間や周辺環境といった生活リズムに起因するもの、内分泌撹乱物質と呼ばれる環境ホルモンが原因と考えられるものなど、多岐にわたります。

 思春期早発症を引き起こす可能性のある生活習慣で、現代社会との関連が深いのが肥満と夜更かしです。肥満のこどもは脂肪細胞一つ一つが大きく膨らんでおり、その膨らんだ脂肪細胞から分泌されるレプチンという物質が思春期を促すと考えられています。また夜更かしは、思春期を遅くする作用があるメラトニンという物質を低下させます。従って、肥満になるような食生活や夜更かしは、思春期を早める生活習慣ということになります。

 思春期早発症の基準は、男の子は9歳以前、女の子は7歳6カ月以前に思春期が始まった場合を言います。それぞれの体つきの変化だけでなく、身長が急に伸び始めた時は思春期早発症を疑うポイントでもあります。女の子の場合の殆どが原因不明で何か病気が隠れている可能性は少ないのですが、男の子の場合は約半数で脳腫瘍の可能性があります。女の子の思春期開始は胸のふくらみ開始であり、比較的発見されやすいのですが、男の子の思春期開始は睾丸が大きくなるという分かり難い症状であるため、多くの場合で発見が遅れます。さらに、身長がよく伸びるため、特に男の子であれば病気であると認識されずに 発見がより遅れることがあります。

 次回は、思春期早発症の治療についてお話しします。

 
エコチル調査大阪ユニットセンター 小児科医
高桑 聖

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