参加者のお子さんが思春期に入るのはまだ先のことですが、その前に知っておいてほしいことを3回に分けてお話していきたいと思います。
女の子は思春期が来ると胸がふくらみ始めますが、では胸がふくらみ始めた女の子は思春期が始まったことになるのでしょうか?
女の子は思春期が始まらなくても胸がふくらみ始めることがあり、「早発乳房」と呼ばれています。これは病気ではなく体質的な変化と考えられています。特に1歳前後、そして6~7歳ごろに起こりやすく、初めは、ぽっちゃりしているのかな?と思えるくらいのふくらみでしかありません。しかしながら、明らかにしこりが触れ、その際に痛みを訴えることもあります。
この早発乳房の原因は正確には分かっていませんが、思春期が始まっているわけでも、実際に女性ホルモンが多いわけでもないので、少ない女性ホルモン(思春期が始まる前でも女性ホルモンはわずかに存在します)に対して、たまたま敏感になる体質であろうと考えられています。そのため、症状は一時的で、特に1歳前後で起きる早発乳房は通常3歳までに消えてしまいます。しかしその数年後、つまり小学校入学ごろに思春期が始まってしまうこともあります。さらに6~7歳でみられる早発乳房は、その後1年ほどで思春期に入ってしまう可能性が高いと言われています。従って、早発乳房そのものは病気ではないのですが、思春期が早く始まるサインかもと考えて、経過を見守る必要があります。
しかし、胸のふくらみが早いことが全て早発乳房ではないため、あくまでも他の症状がなく検査でも異常がないことが前提となります。もし異常があり、そのために胸が膨らんでいることになれば、「思春期早発症」という病気になります。
思春期早発症とはどういうものなのか、次回に説明したいと思います。
エコチル調査大阪ユニットセンター 小児科医
高桑 聖