今年の夏は記録的な暑さが続きました。新型コロナウイルス感染症や熱中症が心配で外遊びもなかなかできず、クーラーの効いたお家の中で過ごす子どもさんが多いのではないでしょうか。今回は、子どもの夏バテについて、大阪母子医療センター新生児科・感染症科の野崎昌俊先生にお話をお聞きしました。
子どもの夏バテの特徴
夏バテの原因は、睡眠不足、食欲減退、自律神経のバランスの乱れですが、特に子どもは、エネルギー消費が多くて体力を消耗しやすい、脱水になりやすい、体調コントロールが自分でうまくできない、などの理由で夏バテになりやすく、夏かぜをひきやすくなります。
夏かぜと冬かぜの違いは、冬かぜのウイルスは寒いところ、乾燥を好み、夏かぜのウイルスは暑いところ、多湿を好みます。
子どもの主な夏かぜは手足口病、ヘルパンギーナ、プール熱(咽頭結膜熱)の3つがあげられます。
子どもの主な夏かぜの特徴
手足口病は5歳以下のお子さんに多く、手のひらや足の裏、口の中などに小さな水ぶくれのような発疹ができる病気です。ほとんどは軽い症状で、特別な治療をしなくても数日で治ります。しかし、髄膜炎などの中枢神経系の合併症を引きおこすことがあります。
ヘルパンギーナは、高熱(38~40℃)、口やのどに特有の小水疱と発熱を主な症状とする夏かぜです。水疱が潰瘍になって痛むために食べなくなったり、水分を摂らなくなったりします。特別な治療法は無く、症状に応じた対症療法が行われます。 髄膜炎や心筋炎を起こすことがあります。
プール熱(咽頭結膜熱)は、プールでの接触やタオルの共用による感染があるので、プール熱と呼ばれます。高熱(38~39度)、のどの痛み、結膜炎といった症状がでる病気です。高熱が5日前後続くことがあります。特別な治療法はなくほとんど自然に治ります。
これらの夏かぜは子どもがかかりやすい病気ですが、大人も感染することがあります。
こんな症状は気をつけて
おしっこの回数が少ない(おむつ交換の回数が少ない)、口の中が乾くときは脱水を
疑い、十分な水分補給をしましょう。口の中の水疱や潰瘍で食事が摂りにくいときは、柔らかく薄味の食事を工夫します。
ぐったりしている、水分が摂れない、吐き気や嘔吐、頭痛の強いとき、せきが激しいときは早めに医療機関に相談しましょう。
夏かぜにかからないために
感染者の咳やくしゃみで飛沫をあびたり、ウイルスのついた手やタオルなどで目や口を触ることで感染します。こまめに手洗い、うがいをしましょう。タオルなどは共用せず、感染者との密接な接触は避けましょう。
また、クーラーは冷えすぎると寝冷えをしたり、屋内と屋外の温度差が大きいと体調をくずすことがあります。クーラーは温度を調節して上手に使いましょう。
最後に、体力を維持できるよう、よく寝、よく食べ、身体を動かしてよく遊びましょう。
エコチル調査大阪ユニットセンター
(大阪母子医療センターエコチル調査室)スタッフ