寒さの中にも春の気配を感じる季節となりました。
今回の子育て応援コラムは、「乳がんの早期発見」についてのお話です。
わが国における乳がん罹患率は増加傾向にあり、日本人女性が最も罹患するがんです。しかしながら、早い段階で発見し、早期に治療を行うことで、治る可能性が高いがんでもあります。乳がんと診断された女性の5年後の生存率は90%以上と高いことがわかっています。
では、どのような人が乳がんになりやすいのでしょうか?また、早期発見のためにどんなことに気を付けると良いのでしょうか?
乳がんになりやすい人
乳がんの危険因子として、以下が挙げられます。
乳がんは、女性ホルモン「エストロゲン」にさらされる時間が長くなることで生じていると考えられています。乳がん発症の5~10%が遺伝的な要因である一方で、多くの乳がん発症には生活習慣などの関与が大きいことが報告されています(日本乳癌学会 患者さんのための乳癌診療ガイドライン)。
早期発見のために大切なこと
乳がん検診を受診する
乳がん検診は、乳がんを早期発見するためにとても大切な機会です。厚生労働省の「がん検診のあり方に関する検討会」では、40歳以上の女性が2年に1度、乳がん検診(原則、マンモグラフィ)を受診することを推奨しています。乳がん検診は、全市町村にて実施されていますので、乳がん検診に関する詳細な情報は、お住まいの市町村の広報誌等でご確認ください。
セルフチェックを行う
定期的に自分で胸を観察したり、触ることで、皮膚のひきつれ、くぼみ、しこり、分泌物等の乳がんによる異常を早期発見することができます。インターネットで検索すると、様々な機関がセルフチェックの方法を掲載しています。「公益財団法人 大阪府保健医療財団 大阪がん循環器病予防センター」のホームページで乳がんのセルフチェックの一例が分かりやすく解説されていますので参考にしてください。
育児や家事、仕事等で日々忙しく、お母さんご自身のことがついつい後回しになっていることもあるかと思います。お母さんご自身のため、大切な人のためにも、乳がん検診の受診やセルフチェックを心がけてください。何か不安がある場合は、迷わずに専門医に相談しましょう。日々、子育てに向き合われるお母さんの健康も大切にしていただくきっかけとなれば幸いです。
エコチル調査大阪ユニットセンター
特任研究員 谷川 果菜美
【参考】
厚生労働省 全国がん登録 罹患数・率 報告
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000553552.pdf
国立がん研究センター がん情報サービス がん診療連携拠点病院等院内がん登録生存率集計
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/brochure/hosp_c_reg_surv.html
厚生労働省 がん検診推進事業について
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/gan10/
厚生労働省 がん検診のあり方に関する検討会
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou_128563.html
日本乳癌学会 患者さんのための乳癌診療ガイドライン
http://jbcs.gr.jp/guidline/p2019/guidline/
公益財団法人 大阪府保健医療財団 大阪がん循環器病予防センター 乳がん自己触診
http://www.osaka-ganjun.jp/medical/examination/breast/self-palpation.html
(2020年3月16日アクセス)