月日が経つのは早いもので、エコチル調査にご参加いただいているお子さんたちの中に、4月から小学校に入学された方々がいらっしゃいますね。学校という新たな環境で過ごす中、ゴールデンウィークを過ぎて、お子さんもご家族のみなさんも少しほっとしたと同時に疲れも出てくるころではないでしょうか。
今回は、始まったばかりの学校生活は子どもにとってどのようなものか、また、家庭で子どもの気持ちをとらえ、どのように声かけしたらよいのかについて少しお話しします。
●学校生活における課題
小学校入学の時期、ご家族は、わが子に「より一層成長してほしい」と願う一方で、「学校で上手くやっていけるだろうか・・・」と不安に感じることもあると思います。ここでは、始まったばかりの学校生活で、子どもたちが自分で対応しなければならない課題について挙げていきます。
① 学校の規則に慣れる
学校には校則があり、時間割などのスケジュールがあります。それらに慣れて、適応することが求められます。
② 先生との関係を保つ
子どもにとって、先生の与える影響力は非常に大きいといえます。子どもたちは、先生の言うことを聞いたり、先生に話をしたりしながら、先生と自分の関係を作っていきます。
③ 学習課題に取り組む
国語、算数などの学習から、体育、音楽など感性を養うものまで、様々な課題に取り組みながら、子どもたちは自分の興味を広げていきます。
④ 友だちをつくる
クラスに適応し、学校生活を円滑に過ごすために、新しい友だちとの関係を築くことが大きな課題になります。
このように、子どもにとって、小学校への入学は非常に大きな変化となります。心細く感じて多少不安定になったとしても、ご家族の皆さんは「その分、小学校で頑張ってるんだな。」と大きく構え、温かく見守ってあげてください。
●大切な自尊感情がはぐくまれる言葉かけ
一般に、幼児期の子どもは自尊感情が高く、自分を肯定的にとらえると言われています。しかし、小学校に入学して系統的な学習が始まると、他の子どもと比較する機会も増えます。子ども自身も友だちの状況が気になり、例えば、テストの結果が友だちより悪いと、自信を失ってしまうこともあるかもしれません(劣等感が生まれる)。子どもは認められることで自尊感情が高まりますので、たとえできなくても「よくがんばったね」「○○ちゃん(くん)が笑顔でいてくれるのがうれしい」などの声かけを、ご家族は日頃から心がけてください。自尊感情が十分に育っていれば、学校でうまくいかないことがあっても、子どもは自分の存在を否定することなく前に進めるのです。
大阪母子医療センターエコチル調査室 臨床心理士
北村 真知子
【文献】
林洋一監修. 史上最強図解 よくわかる発達心理学. ナツメ社,2010