お母さんの体格(やせ・肥満)と、子どもの健康への影響について、お話します。
女性のやせ
近年、女性のやせが問題になっています。厚生労働省が平成 24 年に実施した国民健康・栄養調査 によると、20 歳代の女性の5人に1人が『やせ (BMI 18.5未満)』であると報告されています。
やせは将来の骨粗しょう症につながるという報告だけでなく、ホルモンのバランスのくずれなど女性の健康に望ましくない影響があることがわかっています。加えて、子どもの健康にも影響を与えるという報告もあります。
例えば、妊娠前に痩せている女性では、低出生体重児(出生時の体重が 2,500g 未満)の出産や早産、貧血を起こし易いと言われています。また、妊娠すると、お腹の赤ちゃんが育つための栄養が必要になるため、本来は妊娠していない時期と比較してより多くのカロリーが必要なのですが、最近の調査では、妊娠しても妊娠していない時と同じカロリーしかとっていない妊婦さんもいることがわかっています。
妊娠期間中の体重の増加が少なすぎると、妊娠の週数のわりに赤ちゃんの体重が小さいままである心配が指摘されています。日本でも、胎児期の発育と生活習慣病(肥満、糖尿病、高 血圧など)の関係が注目されています。
女性の肥満
一方で、『肥満(BMI 25以上)』の場合も、子どもの健康に影響を与えることが分かっています。
男女ともに肥満は、脳卒中や心臓病の危険因子でもある動脈硬化や高血圧、脂質異常症にも関わっており、将来の生活習慣病のもとになります。子どもの生活習慣とその後の健康について検討した茨城県の調査(小児期からの生活習慣病予防に関する研究事業:IBACHIL 研究)によると、お子さんが3歳の時点でお母さんが太り過ぎていた場合に、10年後に子どもさんが肥満気味であったことがわかりました。
将来的にはお母さんご自身だけでなく、お子さんも高血圧や動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病を発症し易くなる心配があります。
ちょっとアドバイス
『やせ』と『肥満』はどちらも、お母さんご自身の健康に影響があるだけでなく、お子さんの健康にも関わることです。成人では、標準的な体重は、身長(m)×身長(m)×22で求めることが出来ます。この機会に、ご自身の体重を点検してみませんか。
妊娠期間中、出産後、そして育児中も、それぞれに必要な摂取カロリーの目安があります。やせや肥満の範疇でなくても、気にかかることがあれば、栄養士や保健師、助産師、医師などに相談なさってはいかがでしょうか。
お子さんについては、母子健康手帳に、乳幼児の身体発育曲線が掲載されたページがありますので、月齢にそって体重や身長など成長の目安を知ることができます。
ご家族そろってバランスのとれた食習慣や運動習慣など、健康によい生活習慣を心がけていきましょう。
エコチル調査大阪ユニットセンター 特任研究員
佐田 みずき